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2020年度のニュース

COINSメンバー 松元 亮 博士が日本高分子学会旭化成賞を受賞。

日本高分子学会は、7月14日、COINSメンバーの松元 亮博士(東京医科歯科大学生体材料工学研究所・准教授)が2020年度同学会旭化成賞を受賞したと発表しました。対象となった研究題目は「高分子ゲルを応用した完全合成型人工膵臓デバイスの開発」。血糖値の上昇を検知して必要量のインスリンを自動で体内に投与する人工膵臓は、糖尿病の患者さんのニーズに応える医療機器として1990年代から研究がなされてはいたものの、グルコースオキシダーゼや糖結合性タンパク質といった生体由来材料を用いていたために、使用耐久性や免疫毒性の問題が常につきまとっていました。松元先生らは、ボロン酸とブドウ糖との可逆的結合に着目しました。すなわち、高分子ネットワーク中に適切な割合でボロン酸を加えたポリマーが、周囲のブドウ糖濃度を検知し、その濃度依存的にゲルの含水率が変化する現象を見出し、これを血糖値依存的なインスリン投与の機能へと結び付ける研究を展開してきました。すべて合成材料ゆえに安価で、耐久性や免疫毒性とも無縁な非機械的人工膵臓の誕生です。更に、このボロン酸ゲルを皮下投与用マイクロニードルと融合させ、皮膚に貼り付けるだけのデバイス「貼るだけ人工膵臓」にまで発展させ、ヒトと同体重のブタを用いた試験も進行中です。

高分子学会旭化成賞につきましては、以下のサイトをご参照ください。
https://main.spsj.or.jp/c15/c15.php
尚、医薬経済 7/15 号でも松元先生のインタビュー記事が掲載されています。


  • 松元 亮博士

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