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ナノ医療イノベーションセンター 片岡一則センター長(東京大学政策ビジョン研究センター 特任教授)と米鵬主任研究員、東京工業大学西山伸宏教授、量子科学技術研究開発機構青木伊知男チームリーダーらは、がん内部の微小環境で悪性度や治療抵抗性に関する「腫瘍内低酸素領域」を高感度でMRIにより可視化できるナノマシン造影剤を開発しました。がん内部の低酸素領域には薬剤が十分に届きにくく、また放射線治療の効果も低くなるなど治療への抵抗性を示し、より悪性度の高いがんに変化して転移を引き起こす原因領域とされ、注目されています。開発したナノマシン造影剤は、がん組織の微小環境を検知して、MRIの信号強度を増幅するこれまでに無い機能を有しており、既存のMRI造影剤よりも優れた腫瘍特異的イメージングを可能にすることを研究チームは明らかにしました。また、ナノマシン造影剤を利用することにより、直径わずか1.5 mmの肝臓へ転移した微小な大腸がんを高感度で検出することにも成功しています。このようにナノマシン造影剤は、臨床で広く利用されている生体検査と比べて極めて低侵襲的で、体内のあらゆる臓器・組織に適用できる「イメージングによる病理診断技術」としての実用化が期待されます。また、ナノマシン造影剤は、治療において、治療前の効果の予測や治療後の迅速効果判定にも応用でき、将来的には、見落としの無い確実性の高いがん診断を可能にし、先手を打った、より確実な治療が可能になるものと期待されます。
本研究成果は、「Nature Nanotechnology誌」に5月16日に掲載されました。
なお、本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援によって行われました。
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【5月16日に行われた記者会見の様子】